ホテル代半額も。今なら本来の「落ち着きのある京都」を堪能できる

2月2日に投開票が行われた京都市長選挙も、争点はまさに「観光公害」であった。

与野党相乗りで推薦し、4選を目指す現職にたいし、共産党とれいわ新撰組が推薦する候補とのがっぷり四つの対決かと思われた。だが、ふたをあければ5万票もの差で現職の門川大作氏が当選を果たした。

京都のインバウンド政策は、これまで門川市長が熱心に推し進めてきた。しかし、過剰なインバウンド増が市民生活に大きな影響を及ぼしはじめると、門川氏は「観光によって、地域コミュニティが押しつぶされてしまうことがあってはならない」と、方針転換する。

竹林の小径(2018年夏)と現在(2020年2月)
撮影=鵜飼秀徳
竹林の小径(2018年夏)と現在(2020年2月)

対立候補もホテルの建設規制を訴えるなど、選挙戦では現職・新人候補ともに観光政策の違いが見えてこなかった。そのことも影響して、結果的に現職有利に働いた。門川氏は、当選後のインタビューでも「京都は観光のためにできた街ではない。何よりも市民生活が大事」と述べた。

要は、大事なのは市民生活と観光振興とのバランスだ。「市民生活あっての京都」でもあるが、「観光あっての京都」でもある。インバウンド戦略はコントロールが効かないことを、この数年で京都は学んだ。今後は、観光で生まれた税収などをいかに、市民生活の安定ために配分していくか。それが4期目の市長に、問われていることだと思う。

最後に一言。いまの京都は、日本人が観光する好機である。

宿泊サイトで調べたら、多くのホテルで空室があり、料金も安くなっている。シーズン中と比べれば半額から3分の1くらいの印象だ。誤解を恐れずにいえば、コロナ騒ぎを逆手にとって、ぜひとも、本来の「落ち着きのある京都」を堪能しに来てもらいたいものである。

【関連記事】
外国人を集め日本人に敬遠される「京都」の未来
新型コロナウイルスで「やってはいけない」5つのNG行動
なぜ京都に来る日本人観光客が減っているのか
京都人は観光公害を我慢するしかないのか
「もう限界」関西屈指の人気寺が"納骨制限"に踏み切ったワケ