レイプなどの性犯罪事件は、証拠不十分のため立件されないケースが多いという。なぜなのか。弁護士の上谷さくら氏は「被害者が法律の存在を知らないまま、通報せずに1人で抱え込んでしまう場合がある」という――。
悲しげな女性
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「ナンパ」と称し、酒を飲ませてレイプ

2020年3月、東京地裁で、とある塾の「塾長」に懲役13年の判決が下された。罪名は「準強制性交等罪」。何を教える塾の塾長かというと、「ナンパ」である。

40代の塾長は、10年以上前に「リアルナンパアカデミー」(略して「RNA」)という名前のナンパ塾を設立。塾生は、ナンパのノウハウが記載されたマニュアルを購入し、講習会に参加したり、塾長と一緒に街に出て女性をナンパして酒を飲ませ、性行為することを繰り返していた。塾生は約100名と言われている。

事件が発覚したのは、平成30年5月。RNAの塾生2名が女性を泥酔させて姦淫させた罪で逮捕されたのである。この事件の被害者は、被害の約半日後に警察に届け出ている。その時、対応した警察官が「被害者からは酒の臭いがする」と述べるほど多量に飲酒させられていた。加害者は、姦淫する様子を撮影していた。

事件の発覚後、警察の捜査により、次々と同様の動画が見つかり、塾長を含め、RNAは10名以上の逮捕者を出した。塾長は3件の事件で起訴され、懲役13年の判決を下された。しかし現在、無罪を主張しており、東京高裁に控訴中である。起訴された塾生たちは、「未遂」に終わった1名が執行猶予付き判決を得たものの、その他の塾生たちは既に刑務所に服役している。