人の悪口を言いふらしたり、誹謗中傷のコメントを書き込んだりすると名誉棄損罪や侮辱罪に問われるおそれがある。いったいどこからがNGなのか。弁護士の上谷さくら氏が、インターネット上でトラブルになる4つの投稿事例を紹介する——。

※本稿は、上谷さくら、岸本学『おとめ六法』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

深夜にスマホとノートパソコンを使用している女性の手元
写真=iStock.com/stevanovicigor
※写真はイメージです

「うざい」「きもい」と悪口を書かれていたら

DVやハラスメント、性犯罪に娘のいじめ……。「女性が巻き込まれやすいトラブル」は数多くあります。でも、そうした悩みを解決したくても、「誰かに相談したら逆に悪化するかも」とどうしていいかわからない人も多いです。本稿では、インターネット上でトラブルになりやすい「名誉棄損罪」と「侮辱罪」について紹介していきます。

【事例1】
学校の裏サイトに、私のことを「うざい」「きもい」と中傷する内容や、「援交をしている」など事実ではないうわさが書き込まれた。
【ANSWER】
サイトに問い合わせフォームなどがあれば、まずそこに状況を記載して削除を求めてみましょう。法的措置を取るなら、まずは中傷やうわさを、証拠として保全する必要があります。そのうえで、裏サイトを運営している管理者に、中傷やうわさの削除を求めることができます。

愚痴や悪口、噂話なども、度が過ぎれば名誉毀損罪や侮辱罪に該当します。

まず名誉毀損罪は、以下の条件を満たす場合に成立します。

「デマ」も犯罪の要件に当てはまる

名誉毀損罪と侮辱罪
図表=KADOKAWA『おとめ六法』

「公然と」……大勢の人の前などで
「事実を適示して」……「本当の事実」や「虚偽の事実」を示して
「人の社会的評価を低下させた」……世間や周囲からの評価を下げた

ここでいう「事実」は、その内容が本当かどうかは関係ありません。

そのため、嘘の内容でも名誉毀損罪の要件にあてはまります。

侮辱罪は、名誉毀損罪と同様「公然と」「人の社会的評価を低下させる」ことですが、名誉毀損罪とは異なり、「事実を摘示」せずに悪口を言った場合などに成立します。

二人きりの会議室で相手を罵倒するなどの場合は「公然と」にあたりません。

しかし二人きりであっても、聞いた人が第三者に伝えることが明らかなのに、その場にいない他人の悪口を伝えれば、「公然と」に該当する場合があります(伝播可能性)。