会社の悪口を投稿して内定取り消しになる場合も

【事例2】
就活中の学生。無事内定は出たものの、あまり満足していない会社。思わず「サービス残業多いブラック」「セクハラあるらしい」など、内定先の会社の悪口と会社名を出してSNSに投稿。もしこの投稿が内定先にバレたら問題になる?
【ANSWER】
SNSでこのような会社の悪口を書き込むと、名誉毀損に該当します。書き込んだのがあなたと特定されれば、内定先企業の判断次第で内定の辞退を求められたり、内定が取り消されたりする可能性があります。

内定とは、開始時期の定められた解約権留保つきの雇用契約です。

雇用契約なので、会社は簡単に解除(内定取り消し)はできませんが、入社までにやむをえない事由が発生した場合には内定を取り消されることがあります。

面接の順番を待つ女性
写真=iStock.com/Promo_Link
※写真はイメージです

たとえば、学校を卒業できなかったり、犯罪行為で逮捕されたりなどした場合です。事例のような書き込みは、内定先企業に対する名誉毀損行為にあたる可能性が高いものです。

匿名で人の悪口を書くのはセーフ?

もっとも、この書き込みだけで、法的に内定取り消しが認められるかは微妙なところです。裁判になれば「内定取り消しは重すぎる」との判断が裁判所から下される余地もあります。

しかし法的に内定取り消しが認められなかったとしても、内定先企業がこの書き込みを発見し、書き込んだ人を特定すれば、なんらかのトラブルになる可能性は高いでしょう。

匿名アカウントであっても完全な匿名はありえません。「発言には責任を伴う」ということを意識する必要があります。

【事例3】
会社の取引先に苦手な人がいる。ストレス発散に、その人の悪口を盛大にSNSに投稿していた。自分の名前を明かさない匿名アカウントで、相手の実名も出していなければバレても犯罪にならない?
【ANSWER】
匿名アカウントで、なおかつ相手の実名も出していないとすれば、名誉毀損罪や侮辱罪などの犯罪が成立したり、慰謝料を請求されたりする可能性は低いと考えられます。しかし匿名アカウントであっても、その持ち主の個人情報が特定されて、インターネット上で晒される場合もあります。内容によっては、重大なトラブルを引き起こしてしまう可能性もあります。

ポイントは「故意」または「過失」があるかどうか

名誉毀損罪や侮辱罪という犯罪は、その投稿をした人が、「相手の名誉を毀損してやろう」という「故意(わざと)」または「相手が特定されて相手の名誉が毀損されてもかまわない」といった「未必の故意」がなければ成立しません。

慰謝料請求するにも、投稿した人に「故意」か「過失」があることが必要です。