相手が誰かわからない表現で書き込みを行っていれば、相手の社会的評価を下げようという「故意」や「未必の故意」「過失」があるとは認められにくいと考えられます。万が一、投稿を見たほかの人が、悪口の相手を特定してネットで晒すことがあっても、刑罰を受けたり慰謝料を請求されたりする可能性は高くありません。

もっとも、裁判などの法的手続きでは、故意があるかどうかは書き込んだ内容から総合的に判断されます。

外見について書くなどして、悪口の相手が誰か、読んだ人が想像つく表現であれば、故意があると認められてしまう場合もあります。

低いレビューをつけたらバズってしまったケース

【事例4】
カフェに行ったらサービスが最悪。あまりにも腹が立つからSNSで悪い感想を書き込んだら、バズってしまった。誹謗中傷になる?
【ANSWER】
内容によっては名誉毀損罪にあたる場合があります。少なくとも、ひどい悪口を書き込むと、トラブルに巻き込まれる可能性もあることを念頭に置いておきましょう。苦情は直接そのお店に伝えるのがよいでしょう。

誹謗中傷への対応は、大きく分けて2つあります。

削除請求……匿名掲示板やサイトの管理者に対して書き込みの削除を求める
発信者情報開示請求……書き込んだ人物を突き止めて、その人物に損害賠償請求などをする

iPhone Xの画面にソーシャルメディアが表示されている
写真=iStock.com/bigtunaonline
※写真はイメージです

まずは削除依頼フォームなどの問い合わせ窓口を通じてサイトやSNSの運営者、管理者に、問題の書き込みの削除を求めるという方法があります。

しかし、それでもサイト側が削除しない場合は、サイトを運営している会社に対して書面を送って削除を求めます。

それでもだめなら、裁判所に訴えることで削除を求めることになります。また、警察に被害を訴えるほか、加害者を特定して民事上の損害賠償請求を行うこともできます。

中傷してくる相手を特定する方法は

加害者を特定するには、裁判所に対し、運営会社などを相手取って「発信者情報開示」の仮処分の申し立てや訴訟を提起します。

この「発信者情報開示」は「プロバイダ責任制限法」に定められているもので、「自己の権利を侵害された者」が、運営会社やインターネット・サービス・プロバイダ(ISP)など一定の事業者に対し、投稿や書き込みをした者の個人情報を開示するように、裁判所から命じてもらう手続きです。