「女が嫌いな女」とは週刊誌の人気企画だ。だが、こうした話題が成り立つのは日本だけだ。ドイツ出身のコラムニスト、サンドラ・ヘフェリン氏は「日本に来たばかりのころ、『女の敵は女』という言い回しに驚きました。日本にはシスターフッド(女性同士の連帯)の精神が決定的に欠けています」という——。
記者団の取材に応じる自民党の杉田水脈衆院議員=2020年9月30日、東京・永田町の同党本部
写真=時事通信フォト
記者団の取材に応じる自民党の杉田水脈衆院議員=2020年9月30日、東京・永田町の同党本部

日本の女性リーダーに足りない大切なもの

「女性はいくらでも嘘をつけますから」――。先日、自民党の杉田水脈衆院議員がそう言い放ったことが話題になりました。

この発言に対して抗議のデモが行われ、謝罪と議員辞職を求めるオンライン署名には約9万筆が集まりました。新聞社等の取材に、しばらくのあいだ杉田議員は「そういう発言はしていない」と答えていたものの、その後一転して発言を認め、「ご不快な思いをさせた」と謝罪しました。

それにしても、なぜよりによって「女性の政治家」がこの手の発言をしたのでしょうか。本当に彼女個人だけの問題なのでしょうか。それともこのようなことを思ったりポロッと言ってしまうような原因は日本の社会にあるのしょうか。

今回はそんな問題について考えてみたいと思います。

日本に来て驚いた言いまわし「女の敵は女」

日本に来たばかりの約20年前、日本の生活スタイルや考え方など、何から何まで筆者には新鮮に感じられました。特に興味深かったのは同性である女性たちとの会話。知り合いや女友達とお茶をしながら何げない雑談をするなかでさまざまな発見がありました。

筆者の知人女性は当時女性社員が少ない会社で働いていましたが、新人の女性社員に対するいじめは主に先輩の「女性」から行われていたといいます。そして彼女は言いました。「難しいのよね、やっぱり女の敵は女だから」と。