大事にしたい「シスターフッド」

2019年の男女格差の国別ランキングで、日本は「153カ国中121位」でした。G7(主要7ヵ国)のなかで最下位です。しかし日本では「女性は優遇されている」という発言をよく聞きます。仕事で「女性だから」という理由で抜擢されるのはおかしいという声も少なくありません。残念ながら女性自身が「女性だからと優遇はされたくない」と考えている場合もあります。

しかし、ドイツでは2015年に「女性クオータ法」が成立し、翌年から大手企業には監査役会の女性比率を30%以上にすることが義務付けられました。女性の役員や管理職を増やすため、企業には自主目標の設定、具体的処置、達成状況に関する報告義務も課せられています。なお、この制度は公的部門にも適用されています。

学歴も能力もある多くの女性が、前例に従い補助的なポジションにしか就けないことが長年問題視されてきました。そのため具体的な数字を設定し、法的に問題の解決にあたったことは合理的で、この制度に女性が反対したという声は聞こえてきません。

その根底にはシスターフッド(女性同士の連帯)の精神があります。

女性が個人的に「自分は仕事でそれほど上のほうのポジションには行きたくない」と考えていても、「でも上のほうに行きたい他の女性もいるのだから、経営陣に女性が増えるのは良いことだ」と考えるのがシスターフッドです。

つまり自分自身の要望や生き方とは必ずしも一致しなくても、自分と同性である他の女性たちの応援はする、という考え方です。ヨーロッパでは、生き方が違っても、支持する政党が違っても「女性の地位向上のためには団結する」という姿勢が目立ちます。

杉田議員にもシスターフッドの精神があれば……

近年の「#MeToo運動」を見ても、日本では「性被害に遭った女性を女性が叩く」ということがしばしば起きています。杉田議員にシスターフッド精神が少しでも頭の片隅にあれば「女性はいくらでも嘘をつけますから」は出てこなかった発言なのです。

「女性は感情的」と同じぐらいに偏見に満ちた発言なのは言うまでもありません。

(一部の)男性が考えがちなことを、よりによって女性である杉田議員が口に出して言ってしまったのは、日々女性を低く見ている多くの「オジサン」に囲まれ、自身も彼らの価値観を内面化してしまった結果かもしれません。

女性の政治家にシスターフッドを期待するのは求めすぎなのでしょうか。

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