実力主義、スピード重視……常に効率化が進められる外資系企業において、AIはどこまで浸透しているのか。現役常務や組織の中核を担った元社員が、効果的な活用法と「引くべき一線」を明らかにする――。
アクセンチュア式】人間なら数カ月かかる結論を10分で出す「AI経営会議」の全貌

「デジタルツイン・エンタープライズ」――。それがアクセンチュアのAI活用の根本にある世界観です。企業活動をデータ化してデジタル上に再現し、AIがリアルタイムで現状把握やシミュレーションを行いながら、現実のビジネスを支援していく考え方です。

保科学世(ほしな・がくせ)
保科学世(ほしな・がくせ)
アクセンチュア常務執行役員、AIセンター長、データ&AIグループ日本統括兼アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京共同統括。慶應義塾大学 大学院理工学研究科博士課程修了。博士(理学)。

この世界観を実現する要諦がAIエージェントです。営業、生産、購買といった専門領域ごとにAIエージェントが存在し、タスクを入力するとエージェント同士が自律的に対話しながら仕事を調整・支援してくれます。アイデアのブラッシュアップや部署間の根回しもAIエージェント同士が下準備を済ませるため、人間は最終確認と意思決定に集中できます。結果として、一人一人がカバーできる領域は確実に広がっています。AIはもはや補助ツールではなく、定型業務においては「実行主体」となる存在なのです。

マーケティング領域では、多様な属性を持つ何万体ものバーチャル消費者を使ったテストマーケティングも実用化しています。新サービスを打ち出したい場合、消費者それぞれの持つニーズを潜在ニーズも含めて、AIが可視化していくことも可能です。後述しますが、AIエージェントの活用は、経営の意思決定領域にまで及んでいます。

(構成=増田忠英)