ところが実際には「なあなあ」になりがちなのも確かです。
男性が多い会社や中小企業では「女同士で仲良くやってくれよ」とばかりに「女性が抜けた分の仕事は全て別の女性がカバーすればよい」という暗黙の了解があったりします。
結果として独身の女性に負担がかかるのが現実です。
子供を持つ女性は「子供をもって大変なのに、仕事場で女性からつらくあたられる」、独身の女性は「子供を持つ女性のカバーをなぜ私だけがしなければならないの」とそれぞれの言い分があります。
しかし厄介なのは、カバーに入った女性がその大変さを周囲に話すと、男性から「やっぱり女の敵は女なんだな」と思われがちなことです。残念なのは、これが会社の問題であるにもかかわらず、時に「女の敵は女」「女同士のバトル」と周囲から面白おかしく取り上げられることです。
この問題の原因は「男性が育児で仕事をセーブする」ことがまだまだ少ないからです。多くの男性も時短で働けば、総合的に時短で働く社員はかなりの数になります。「時短で働く社員の分をどのようにカバーするか」という点を会社はもっと工夫するはずなのです。
ドイツもシビア……同性から悪く言われる専業主婦
実はドイツにも女の闘いというものが全くないわけではなく、日本とは少し形は違いますがなかなかシビアです。例えば専業主婦という存在について。日本では「女性の多様な生き方」の中に「専業主婦」も含まれています。実際に専業主婦が一方的に叩かれる場面はあまり見られません。
一方、ドイツでは専業主婦に対する風当たりはかなり強いのです。持病を抱えている、ドイツ語ができないなど、特別な理由がない限り疑問に思われる傾向があります。専業主婦は「なぜ自分でお金を稼ごうと思わないのか」と疑問を直球でぶつけられることも多く、何かと周囲から質問攻めにされることになります。
さらに「夫が望んでいるので専業主婦をしているんです」なんて言った日には、DVの被害者だと思われ相談機関を紹介されかねません。「自分が好きで専業主婦をしている」と言えば、何か問題のある人だと見られる場合が多いのです。
特に、同じ女性が専業主婦に対して厳しい見方をする傾向があります。
ドイツ在住のある日本人女性は「ドイツ人である夫の仕事の都合」でドイツに引っ越し、当初は就労していませんでした。しかし数カ月後、夫の親戚や知人から「なぜ働かないのか」と聞かれ、なかでも女性からの質問攻めが執拗だったと嘆いていました。
このようにドイツでは「専業主婦である」というだけで直接非難されます。そう考えると日本の社会は優しい社会だといえるでしょう。