ストーカーや暴行などの犯罪に巻き込まれたとき、加害者から示談を持ちかけられることがある。だが、お金をもらって罪を許すことをためらう人は少なくない。弁護士の上谷さくら氏は「『金目当て』と非難する人もいるが、金銭賠償は犯罪を繰り返さないために必要だ」という——。

※本稿は、上谷さくら、岸本学『おとめ六法』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

取り調べを受ける男性
写真=iStock.com/Kritchanut
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オートロックは安全とは限らない

オートロックとは「建物内に共用玄関のドアがあり、外からドアを開けるためには、鍵や暗証番号などを用いるか、居住者などに内側から鍵を解除してもらう必要がある共同住宅」を指します(国土交通省『平成30年住生活総合調査〔速報集計〕結果』)。

防犯のために、オートロックつきの物件がいいと思う人は少なくないでしょう。オートロックでないマンション等と比較をすれば、オートロックのマンションのほうが安心かもしれません。

しかしオートロックだからといって、絶対安心な場所ではありません。侵入リスクはそれなりに残されています。

オートロックのマンションでも、以下のような方法で不審者が侵入してくるといわれています。

宅配便の業者を装い…侵入パターン4つ

①住民の後について入ってくる
マンションの住人がオートロックを開けて中に入るときに、不審者が住人に続いて侵入してくることが考えられます。不審者が素知らぬ顔で住人のふりをしていると、なかなか声をかけにくいものです。
ほかに宅配便の配達を装って、適当な部屋のインターホンを押し、ドアを開けてもらう方法もあるようです。

②センサーを誤作動させる
自動ドアタイプのオートロックの場合、外から入る際は鍵や暗証番号などが必要でも、内側からはセンサーが人を感知して自動でドアが開くものがあります。
このしくみを利用して、ドアの隙間から紙などを差し込み、センサーを誤作動させて、外からドアを開けてしまえる場合があります。

③非常用開錠ボタンで開錠する
消防や救急隊などが緊急時に入れるよう、オートロックには非常用の開錠ボタンが設置されています。不審者がこのボタンを押してオートロックのドアを開けて侵入することも考えられます。

④オートロック以外の場所から侵入する
出入り口以外にも、簡単に乗り越えられる柵やベランダがあれば、そこから侵入される場合があります。また、通用口を住民が開けっ放しにしているという場合もあります。

このように、オートロックのマンションでも、セキュリティ万全というわけではありません。「ちょっと近所のコンビニまで」というときでも、外出時には鍵をかけましょう。在室時も自室玄関の鍵はかけておきましょう。

なにより、ストーカーなどの加害者は外部だけでなく、同じマンションにいないともかぎりません。