女性たちが声を上げなかった理由
このような「組織的大犯罪」であるにもかかわらず、なぜ露見しなかったのか。
警察の捜査で新たに判明した被害者の女性たちは、「ナンパになんか応じてしまったからだ」「酒を飲み過ぎた自分も悪かった」と思い込み、自分のことを責めていた。そのため、犯罪被害者であることの認識がなく、警察に行こうという発想がない人が多数だった。
警察に「これはとんでもない犯罪なんだよ」と言われてやっと、「自分は犯罪被害者なのだ」と思えたのである。
このように、「自分も悪かった」と思い込んで、自分がされたことが犯罪だと気づいていない事案は、実はたくさんあるのが現状だ。
RNAの事件のように女性が泥酔している状態や、薬物、睡眠等により抵抗できない状態で性行為をしたりすることは「準強制性交等罪」となる。
「準」とついているが、いわゆる「レイプ」である「強制性交等罪」と、罪の重さは同じである。
相手の立場が圧倒的に強くて「心理的に抵抗できない」状態の人に性行為をしたりすることも「準強制性交等罪」にあたる。
被害者が未成年だと隠すケースも
このように、「強制性交等罪」「準強制性交等罪」は、きちんと刑法に定められている。それにも関わらず、その行為が犯罪にあたると知らない場合が少なくない。だから、被害に遭っても「自分が悪かった」「もう忘れよう」等と考え、放置してしまうのだ。
事件を忘れることができず、一人で抱え込んでしまったりトラウマ化させてしまったりして、生きづらい人生を送ってしまう事例は決して少なくない。
なお、被害者が未成年で、加害者が学校や塾の先生、部活の指導者の場合などは、被害が潜在化するケースがもっと増える。加害者から「内緒だよ」と言われると、生徒は一生懸命に先生の言うことを守ろうとしてしまうのだ。
自身がされたことが「犯罪」であると知り、適切に対処していくことは、その後の人生にも影響を及ぼす重要なことだ。
夫の浮気が原因で別居する際の費用は?
またそれが犯罪ではなかったとしても、法律を知り、そして実際に当事者になった時にどうすればいいのかという手続きや制度を知ることは重要だ。たとえば次のようなケースだ。
「夫が浮気していたというAさん。相談を重ねた結果、離婚を見据えて別居をすることになった。しかし、Aさんは婚姻期間中の10年間、専業主婦として家庭を支えてきており、キャリアも中断してしまっていた。すぐにはまとまった収入が見込めないという」