「東京大改革バージョン2.0でございます」
6月12日午後6時過ぎ。東京都庁内の記者会見室に、小池百合子知事は無数のフラッシュを浴びながら入室した。濃紺のジャケットに、緑色のスカーフ。この日に合わせたように、襟足や前髪は短く整えられていた。
「4年前の原点を思い返し、再び都民の皆さんの推薦、推挙を得るための戦いに臨みたい。掲げる言葉は『東京大改革バージョン2.0』でございます」
小首をかしげ、少しだけ上目遣いに見上げるいつものポーズだった。体ごと、ぐるりと報道陣を見まわし、7月に行われる都知事選への出馬を高らかに宣言した。小池氏は2016年7月の前回選挙で約290万票を獲得し、知事に就任した。差配する予算規模は13兆円、4万人の職員を部下に持つ。任期中、政党を立ち上げるなど国政への色気も見せたが、今は「トップダウンでこれだけの組織が動くことに、面白みを感じているようだ」(都庁幹部)。
小池氏は再選に向け、主な公約として新型コロナウイルスの感染第2波に備えた取り組みを挙げた。その上で、感染リスクが高い密閉、密集、密接の「3密」を避けるため、街頭演説はしないと言い切った。新型コロナ対応など公務を最優先し、選挙戦はオンラインで行うのだという。