東京の経済を殺した犯人は一体誰だ

4月7日、政府の緊急事態宣言を受け、小池氏はどの業種に休業を要請するかの検討に入った。キャバクラやクラブなどの夜の繁華街関連に加え、百貨店やホームセンター、理髪店などを含める案をまとめた。これに対し、政府側は休業要請の対象をもっと絞り込むよう求めた。いきさつを知る政府関係者は「都は一体何を考えているのかと。ここまで広げたら経済がもたないし、そもそも日常生活が成り立たなくなると思った」と漏らす。

政府と都の話し合いが持たれているさなか、都の案は一部の新聞やテレビで報道される。それが既定路線のように扱われた。都庁関係者は「都民の命を守る小池氏と、経済優先で待ったをかける政府。こんな構図を作るため、知事周辺が意図的にメディアに情報を流したのではないか」といぶかる。

政府と対立構図を作り出した結果、休業要請は緊急事態宣言から遅れること4日後、4月11日にずれ込んだ。小池氏は定例記者会見で「代表取締役社長かなと思っていたら、天の声がいろいろと聞こえてきて中間管理職になったようだ」と嘆いて見せた。

血税4億円は自身の選挙対策に

小池氏はさらに、4億円を投じてテレビCMなどの広告を作成したほか、毎日夜、都庁舎からユーチューブでの生配信を始めた。深刻な表情を浮かべ、語気を強めて「大切な人の命を、守りましょう」と呼びかける。「命を守る都知事」のイメージが定着した。

その間、現場では何が起きていたのか。

急増する感染者に、病床の確保が間に合わない。都の職員はあらゆる医療機関に電話をかけ、病床を空けてもらうよう頼み込んだ。それでも足りず、軽症者はホテルで受け入れることになった。政府関係者によると、どのホテルが使えるかは、観光庁など政府の職員が一軒ずつ、電話で探したという。

都庁幹部によると、小池氏は何らリーダーシップを発揮することはなく、結果として、ホテル探しは政府頼みになった。