新型コロナの大規模なクラスターが相次いで発生、時計が逆回転したような韓国に何が起きているのか?
South Korean President Moon Speaks During Inauguration Anniversary
写真=gettyimages

「密」への警戒感もまったく薄れて…

「K防疫」とは韓国が自ら施行した新型コロナ対策の呼び名だ。感染者の移動経路などの情報を公開、PCR検査を徹底して行ったため、4月中旬には新規の感染者が10人前後まで減少、5月6日に外出自粛要請を解除した翌7日には、K防疫、Kバイオなどを目玉に、「ポスト・コロナ」時代の新産業戦略を提示。新型コロナの被害が大きかった主力事業を、新産業として再編するとした。

総選挙にも圧勝し、男を上げた格好の文在寅大統領は同10日、「我々は防疫において世界をリードする国になった。K防疫は世界の標準となった」と内外に誇らしげにアピールした。

しかし実は、ソウル市内の繁華街、梨泰院(イテオン)で集団感染が8日に確認されており、同9日にすべての遊興施設に営業停止命令が下され、再び規制を強化していたのだった。同11日までに79人の感染者が確認された。人々が一斉に街に出てあふれかえり、「密」への警戒感もまったく薄れてしまったという。防疫当局は従来の新型コロナとの違いを、「伝播する速度が極めて早い」と警戒しているという。