動線の公開で、感染者の身元がバレた

K防疫とは、いかなる手法なのか。日本が取った手法とは異質であることがすでに報じられているが、感染経路をたどる際、個々人の携帯電話の位置情報、防犯カメラの映像、クラスターが起きた現場付近のクレジットカードの決済記録などを当局が把握、警察官を多数動員して追跡する。日本から見ると、法制度上の問題に加えて、プライバシーを度外視したにわかには受け入れ難い手法に見える。

感染拡大初期には、ショッピングモールを訪れた感染者が時間帯別にどの売り場を訪れたのかなどの動線が地方自治体のSNSに掲載されていたという(その後、予防に必要な情報に限る等々の様々な制約がついた)。2015年に、日本では感染者ゼロだった中東呼吸症候群(MERS)の感染拡大を経験した韓国国民だからこそ、プライバシー論争を経て仕方なく受け入れた手法といえよう。

MERS感染の際は、中東を歴訪し感染した最初の韓国人患者が発症から隔離までに10日かかり、その間に4カ所の医療機関で受診。多数の医療従事者や患者らに接触することになり、2次感染、3次感染を含めて計186例、1万6693名が隔離対象となっている(国立感染症研究所HPより)。

もっとも、第2波を受けて、プライバシー論争が再燃。身元がバレる被害も出ており、富川市のフェイスブックには感染者の動線の公開範囲を糾弾する書き込みが多くみられる(中央日報)。基本的な手法は不変と思われるが、この先どう手を加えるのかにも興味は尽きない。

第2波は「突然の意識障害など重症となる患者が増えた」

我が国に目を転じると、緊急事態宣言が解除され、手のひらを返した海外メディアの賞賛が相次いでいる新型コロナ対応だが、そうそう喜んでも言っていられない。

人口100万人あたりの死者数は、理由はわからないが日韓始め東アジア諸国は欧米と比べて格段に低い水準にある。欧米メディアが不思議がるポイントである。ただ、5月12日を境に日本は韓国を上回り、その後はほぼ横ばいの韓国と比べてわずかに上向きなのは少々気になる。

福岡・北九州市の病院・介護施設や小学校で集団感染が相次いでいる件は、政府担当者だけでなく日本中の個々人が注視しておく必要がある。北九州市立八幡病院の伊藤重彦院長は、「北九州での第1波と第2波では感染者の症状に違いがあり、第2波の特徴として突然の意識障害に陥るなど重症となる患者が増え、医療従事者が感染する率が高かった」という(NHK)。

第2波を不用意に拡大させて、経済活動を再度ストップさせるわけにはいかない。政府にはバランスの取れた差配を、企業や個々人は引き続き慎重な行動が求められる。

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