メンタルが落ちると集中力が続かない

1998年の長野、2002年のソルトレークシティと2大会連続で出場した冬季オリンピックではメダルに届かなかったものの、男子フィギュア界の第一人者として輝かしい成績を残した本田武史さん。モチベーションのコントロールには苦労したという。

プロフィギュアスケーター 本田武史氏
プロフィギュアスケーター 本田武史氏

「16歳でオリンピック出場が決まったとき、夢が叶ったのでスケートはやめようと思ったんです。そのとき、母親に『やめたいならそれでもいいが、やって後悔したほうがいいんじゃないの?』と言われたことが、僕の人生の大きな分岐点になりましたね」

そのときから、練習をし、試合で結果を出すことを「生活の一部」とできるように意識するようになったという。そこで大切にしていたのが「オンとオフの切り替え」だ。

「調子がよくないときは、無理に練習しないんです。気持ちをリセットさせるために、あえて休んで違うことをしていました。自分を無理やり追い込めば追い込むほど、いっぱいいっぱいになり嫌になってしまうので、一旦諦めてしまうんですよ。そうすれば、次の日は新しい気持ちで練習に臨めます。カナダで練習していたときは、練習仲間を誘ってビリヤードをしに出かけたり、ゴルフやサッカーをして気分転換していましたね」