今後30年の間に、「お金」の概念が消滅する

消費増税後の消費腰折れを防ぐため政府が導入したキャッシュレス決済でのポイント還元に背中を押され、スマホ決済や電子マネーなどのキャッシュレス決済が急速に普及している。ソフトバンクグループ傘下のPayPayによれば、スマホ決済サービス「ペイペイ」の登録者数は2019年11月中旬に2000万人に達し、この3カ月間で2倍に増えたという。またJR東日本の交通系電子マネーSuicaの19年9月のポイント会員の入会数が、前月比14倍に達したとも報じられている。

斉藤賢爾『2049年「お金」消滅貨幣なき世界の歩き方』(中公新書ラクレ)

政府は2016年時点で20%だった決済に占めるキャッシュレスの割合を、25年までに40%に引き上げる目標を掲げている。この勢いが続けば前倒しでの達成も可能だろう。

ではその先に、私たちにはどんな未来が待っているのか。私たちのお金との付き合いはどう変わるのだろうか。

本書の著者は明言する。

「私は、今後30年の間に『お金』の概念が事実上消滅すると思っています。キャッシュレスであることはもちろん、マネーレスになると考えているのです」

マネーレス、つまり「お金がなくなる」とはにわかには信じられない大胆な予測だが、その大きな理由の1つとして著者が提示する「お金の役割がインターネットによって揺らぐ」との指摘は興味深い。