クックパッドに「生命創生のレシピ」を投稿する

生命の起源は現代科学の最重要テーマの1つである。地球上の生命は今から38億年ほど前に誕生し、幾多の進化を経て我々人類まで継続してきた。ところが、その発端がどうだったのかは長い間の謎で、世界中でいまだに論争が続く。

藤崎慎吾著『我々は生命を創れるのか』(講談社ブルーバックス)

こうした根本的な疑問に答えるため、生命を実際にラボ(実験室)でつくってしまおうという企画が始まった。たとえば、飛行機がなぜ飛ぶかを知るには、まず紙飛行機を作りそれを飛ばすことから始めようというアイデアだ。今では「合成生物学」という最先端の研究にまで発展した。

本書は第一線で活躍する生命科学者たちを徹底取材し、その現状をわかりやすく噛み砕いた啓発書である。最初の3章は「生命の起源」に関する研究の基本を押さえ、何がポイントかを明らかにする。続く2章は、「生命の終わり」をつくる、「第二の生命」をつくる、という意欲的な内容で、生命科学がどこに向かっているのかを見通す。ほかにも、クックパッドに生命創生のレシピを投稿するといった奇想天外なエピソードとともに、スリル溢れる生命探求の現場を鮮やかに紹介する。