日本人は貯蓄はするが、投資はしない。このため「リスクを取るのが苦手」と言われる。そのままでいいのだろうか。レオス・キャピタルワークス社長の藤野英人氏は、「これからの時代を生き抜くには、たとえサラリーマンでも『投資の思考』が必要不可欠だ」という——。
※本稿は藤野英人『投資家みたいに生きろ 将来の不安を打ち破る人生戦略』(ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。
リスクと「向き合う」ということ
平成が終わりました。日本経済を長らく停滞させてきたもの。それは、保守や忖度を重んじ、リスクを避ける体質でした。
特に、日本では高齢化問題が重しになっています。どの組織でも上の世代がいつまでも重要なポストに居座り、新陳代謝が起きにくくなっている。その結果、若い人たちが力を発揮する場所が増えず、社会に新しい価値観が根付かない。時代が変化しつつあるのに、旧来型の発想から抜け出せず、成長の芽が摘まれてしまうのです。
その一方で、新しいことにチャレンジする若い人たちが増えています。ベンチャー企業を立ち上げて30代で役員になって高収入を得たり、専業ブロガーやYouTuberとしてコンテンツを作って稼いだり、副業やダブルワークも当たり前になり、会社員にとらわれない働き方をする人はどんどん増えています。
彼らに共通するのは、“リスクをとることで大きなリターン(成果)を得ている”ということです。変化することを恐れずにお金や時間を自分や会社に投じて、さらに大きな収入や多くの自分の時間を得ています。日本経済全体が停滞する中で、一部の人たちは確実に「成長」をし続けています。
この「リスクをとる」という考え方は、まさに「投資」の考え方です。投資の世界におけるリスクとは、「得られるリターンの不確実性の度合い(振れ幅)」のことを指します。リスクをとらないとリターンが得られない。すなわち、大きなリターンを得たいのであれば、不確実性(リスク)を受け入れなくてはいけません。