ホワイトカラーの定型業務を代替する「RPA」の導入企業が急増している。ジャーナリストの溝上憲文氏は「金融・保険業界を中心に導入が進んでおり、その影響で一部では雇い止めも発生している。今後、多くのホワイトカラーが『AI失業』をする恐れがある」という――。
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“人手不足の救世主”は全ホワイトカラーの敵となる

「AIの進化によって仕事が奪われる」と世界的に話題になったのは、英オックスフォード大学のカール・ベネディクト・フレイとマイケル・A・オズボーンの2人が2013年に出した論文がきっかけだった。

10~20年以内に米国の労働人口の47%がAIなどの機械に代替されるリスクが70%以上と発表し、人々を驚かせた。

今の日本はどこの企業も人手不足であり、AIが自分の仕事にとって代わるのはまだ先の話だと思っている人も多いのではないか。

“働き方改革”の名のもとで続々導入されている

しかし、まだ顕著な形では表面化していないものの、一部の銀行では非正社員の雇い止めが発生しているという話も聞こえてくる。

その原因のひとつとなっているのが、業務効率化のツールとして注目されているRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)だ。AIとML(機械学習)を活用し、人間が担っていた定型作業をコンピュータに処理させて自動化する“事務ロボット”である。

ホワイトカラーの定型業務を次々と代替することで世界的に普及が進んでいるが、日本では金融・保険業界を中心に導入が進んでいる。それ以外の企業でも業務効率化を目指す「働き方改革」の名のもとで導入に熱心な経営者も多く、IT企業やコンサルティング会社などのベンダーも売り込みに懸命だ。