交通事故に遭う確率と、どちらが高いか

宝くじの1等に当たる確率を、みなさん考えたことがありますか。なんとなく、あの行列に並んでいるとき、「確率が低いのはわかっている、けど、夢を買っているんだ」などと思って済ませてはいないでしょうか。

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冷静に考えてみましょう。

ジャンボ宝くじは1ユニット、つまり1000万枚あたり1等は1本です。1枚買ったとすると、1等の当せん確率は1000万分の1です。1年で5回ジャンボ宝くじが発売になりますから、1回でも1等に当たる確率は、1000万分の5となります。

交通事故で事故死する確率と比べてみると、近年の交通事故死者数は毎年だいたい4000人です。人口を1億2000万人とすると、交通事故死の確率はおよそ3万分の1。宝くじのケースと分母を揃えると、1000万分の333となります。

実際には宝くじにはいろいろ種類がありますし、複数枚買うことも多いでしょうから、当せん確率はもっと上がります。だとしても、1年で宝くじに当たる確率は、交通事故で死を遂げる確率よりずっと低い。ちなみに2017年の、死亡以外を含む交通事故の総数は約47万件です。

誰もが、宝くじには当たると思って行列に並ぶけれど、交通事故になんて遭わないと思って道を歩く。でも、実際の確率は反対です。数字にしてみればわかることなのに、目を向けることはありません。人の感情、もっといえば「願望」がそうはさせない。願望が入っているほうが、頭の中で確率を高くはじき出すのです。

1000万分の1の1等以外の賞の当せん額を考えても、宝くじはギャンブルとして最悪と言えます。バラのほうが楽しみとか、連番がいいとか、小さな問題にすぎません。皮肉ですが、それでもこれだけのカネが集まることを考えれば、災害復興などにもっと積極的に用いてもいいのではないでしょうか。