購入前に刷り込まれている
「気に入らなければ返品OK!」「無条件返品」という謳い文句を掲げるなど、ネット通販で返品可のサイトはもはや普通になりました。しかし、気軽に返品できるにもかかわらず、どうして消費者は、ほとんど返品をしないのでしょうか。
先に1つ、根本的なことを言ってしまうと、「返品の必要がないほど品質がいい」商品だというケースがあります。不満があるから返品するわけで、満足できる、または値段に見合う納得した商品ならば返品率は下がるのはあたり前のこと。
別の面から見ると、「返品OKということは、信頼できる商品のはずだ」と思わせる効果がある。現物に触れられないネットでは品質を判断するのがそもそも難しいので、「返品可」の信頼性が消費者を惹きつけるわけです。そして、その事前に刷り込まれた信頼性ゆえに、返品も少なくなるという面があります。
もう1つ、そもそもいたずらに返品をしない恥の精神が、日本人にはあります。普通の人なら、社会常識に反するようなことはしないもの。実店舗と違って人目につかないネット通販とはいえ、自制心を美徳として内面化している人はまだまだ多い。
言ってしまえば「ネットで返品可」は、ブランド戦略の一種。CMやウェブ広告で積極的に打ち出すのも当然です。もちろん、短期的に返品が増えることはマイナスですが、長期的に「返品可」がブランドイメージを高めるのであれば、そちらのプラスのほうが上回る。百貨店や一流ブランドが以前から行っていたブランド戦略と同じことですが、現物に触れられないネット通販であえて打ち出すことで、新興のサイトやブランドでも信頼感を高めることが可能というわけです。