上司がせっかちになる理由がわかった!
心理学の基本法則に、「ジャネーの法則」があります。「時間を感じる心理的な長さは、年齢に反比例する」という法則です。3歳の子供にとって、1年は人生の3分の1ですが、30歳の大人にとって、1年は人生の30分の1です。つまり、自分の人生における時間は、1年、1日というワンピースの割合が、全体の長さに対して減ると同時に、短く感じるようになるというわけです。
また、若い頃は、未経験のことがたくさんあります。新しいことを経験すると、時間は長く感じるのです。どこかへ出かけるとき、行きは長く、帰りは短く感じますが、これも体験したことのないことをすると、時間が長く感じられるせいです。
もう1つ、大人になればなるほど、短い時間の中でやれることが増える、という理由が挙げられます。10分、1時間の間に処理可能なことが増えると、時間は早く過ぎるようになる。一方で、壮年期を過ぎ、老人になると体力が衰えて、短い時間でやれることが減ってしまいますが、「できる」という感覚は変わりません。なので、年を取っても時間の進むスピードは、早くなっていきます。
職場では、せっかちな重役や上司に「現場の大変さを知らないくせに……」と不満を感じる人も多いと思いますが、できなくても「できる感覚」を持ってしまった年配の人たちは、部下に理想を求めてせっかちになってしまうのです。
時間の感じ方の違いは、年齢によるものだけではありません。よく、楽しい時間はあっという間に過ぎる、といいます。これは、時間の経過に注意が向きづらくなるから。