誤解される孤独とは何か
孤独という言葉には、「孤独死」に象徴されるようにネガティブなイメージがつきまとう。だが一方で、オジサンが1人で外食を楽しむ漫画『孤独のグルメ』が人気を博すなど、孤独をポジティブにとらえる傾向もみられる。
そもそも「孤独」という言葉が誤解されていると、心理学が専門の明治大学教授・諸富祥彦さんは指摘する。
「『孤独=1人でいること』ですが、孤独には大きく分けて3種類あります。①非選択的な孤独、②選択的孤独、③実存的な深い孤独、です」
諸富さんの説明によると、我々が一般的に考える「孤独=寂しい」というのは①だ。独身(未婚、離婚、死別など)でパートナーがいない、親しい友人がいないなど、本人が望まないのに否応なく社会的に孤立した状態を指す。
②の「選択的孤独」は文字通り、自分で主体的に選んだ孤独。他人の束縛や周囲の同調圧力から解放され、1人を謳歌する生き方だ。ただし、必要な人とのかかわり合いは保っている。
③の「実存的な深い孤独」は、世の中の喧騒から離れて徹底的に孤独に徹し、自己の内面に深く沈潜する状態である。時折無性に1人になり、自分を見つめ直したいと思うようなケースだ。
「孤独」のとらえ方については、コミュニケーションの専門家で『世界一孤独な日本のオジサン』の著者である岡本純子さんも、「孤独は英語では、『Loneliness』と『Solitude』があり、前者は自分の意思に反して精神的に孤立し苦痛を感じる状態、後者は能動的・自発的に1人を楽しむ『自立』のことで、2つは分けて考える必要があります」と指摘する。「私も1人でいることは大好きですし、楽しい。ただ、それがずっと続いたり、困ったときに支えてくれる人が誰もいないというのは心身ともによくないですよね」。
このように孤独にはネガティブなものとポジティブなものがあるとわかる。