個別株はどのタイミングで売ればいいのか。元マイクロソフトエンジニアで投資家の中島聡さんは「投資を『推し活』と捉えている私にとって、その企業が消費者目線で推せなくなったなら、たとえその後株価が上がるのだとしても、潔く売却する」という――。
※本稿は、中島聡『メタトレンド投資 10倍株・100倍株の見つけ方』(徳間書店)の一部を再編集したものです。
投資とは「推し活」である
近年、日本では「推し」という言葉を頻繁に耳にするようになりました。
もともとはアイドルやアーティストなどを熱心に応援することを指し、自分が応援したい相手を「推しメン」、熱心に応援する行為を「推し活」と呼びます。応援するアイドルのCDを複数枚購入したり、SNSでその魅力を熱心に発信したり、ライブやイベントに足繁く通ったりすることなどが、代表的な推し活と言えるでしょう。
私自身、いわゆる「推しのアイドル」がいるわけではありませんが、推し活に熱中する人々の気持ちは、とてもよく理解できます。なぜなら、私が長年実践してきた投資は、まさに「企業を応援する行為」であり、本質的には推し活とまったく同じだからです。
決算は「推しアイドルの選抜メンバー発表」
例えば、企業が新製品を発表するニュースを目にしたとき、投資家である私は、アイドルグループが新曲をリリースするニュースに胸を躍らせるファンと同じような、期待と興奮を覚えます。決算発表は、まるでアイドルグループの選抜メンバー発表を見守るかのような緊張感があります。
アイドルファンにとって、NHK紅白歌合戦への出場や新メンバーの加入が一大イベントであるように、投資家にとって、企業の重要な発表や新製品のリリースは、心が浮き立つ瞬間なのです。「推し」企業が次にどんな戦略を打ち出してくるのか、どんな新しい製品やサービスで世界を驚かせてくれるのか、楽しみで仕方がなくなるのです。このような高揚感は、「推し投資」ならではの醍醐味と言えるでしょう。
私にとっての「推し」の代表格は、AppleとTeslaです。私は両社の製品やサービスに強く魅了され、株式も保有してきました。

