エレベーターには、荷物、荷台を運ぶ人の安全確認のために鏡が備え付けられているものがあります。鏡があると、人は髪型や服装など、時間以外のことに気を取られます。なので、鏡付きのエレベーターのほうが時間を気にする時間が減り、すぐに移動するように感じられるのです。半面、注目するものがないと長く感じるということ。刺激が少なく、つまらない仕事だと、「早く終わらないかな」と、終業時間が気になって時計ばかり見てしまうものです。

ゴルフよりボルダリングがよい理由

このように、年齢や、仕事の質、個人の感覚の差によって、時間の感じ方は違います。上司と部下にも、時間の感覚にギャップがあるもの。お互いに尊重したいものですが、人は無意識に、「時間は平等だ」と、感覚を共有しているという前提を持ってしまう。

では、どうすればいいか。部下からは、こまめに仕事の進捗を報告すること。上司は報告を受けると、「待つ」以外に注目することができるので、時間の感じ方も変わります。また、「いつまで待てますか」と上司に決めてもらうのもよいでしょう。

上司と部下で「強制的に時間を共有する」ことで、認識のズレを修正する方法もあります。これには、どちらともが経験したことがないことをするのが大切です。ゴルフなどでは、上司のほうが経験豊富なため時間の感覚にズレが生じるので、例えばボルダリングなど、未知の経験を共有してみるのもよいでしょう。

藤井 靖
明星大学心理学部心理学科准教授
臨床心理士。早稲田大学大学院人間科学研究科博士後期課程臨床心理学研究領域修了。
(構成=伊藤達也 写真=iStock.com)
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