心理学でも証明「信じるものは救われる」
なぜ人は迷信やジンクスにすがり、神頼みをしてしまうのでしょうか。自らが抱える不安に対処するためです。自分は成功できるだろうか――。目の前の問題の大きさにかかわらず、誰もがいつでも、そんな不安や恐怖心を抱えるもの。そんな負の感情に対し、ジンクスは、「自分の未来をコントロールできる」と思い込ませてくれる。「信じるものは救われる」というわけですが、その効果は心理学でも証明されています。
成功のイメージを持っていると、心はそれに寄せていこうとするのです。「自分はできる」と思うことで、恐怖に打ち克ち平常心を保つ。認知行動療法では「自己教示訓練」といいます。この自己教示訓練の有用性は、ビジネスの現場でも同じです。
例えば、大事なプレゼンが控えていると想像してください。最初から、うまくいくとはなかなか思えません。成功と失敗という2つのイメージが浮かぶものです。この矛盾する2つでモヤモヤした状態を、「認知的不協和」と呼びます。これを解決するための手段として、占いや迷信、ジンクス、神頼みを使うのです。
迷信やジンクスを支えているのは何かというと、一言でいってしまえば「偶然」にすぎません。本当は高い頻度で起きているわけではないのに、たまたまだからこそ印象に残ってしまうことを「間欠強化」といいます。迷信やジンクスはそうして生まれ、ジンクスに当てはまらなくても成功していることがたくさんあっても、自分の都合よく判断してしまうようになるわけです。
もちろん、迷信やジンクス、神頼みで、気持ちをポジティブにできるのであれば問題ありません。しかし、あまりにもそれにすがりすぎて、反対に仕事に手がつかなかったり、周りに迷惑をかけてしまっては考えものです。迷信によって、反対に不安に苛まれるようになってしまう人もまた多くいて、ひどくなるとカウンセリングが必要なケースもあります。