「どこがおかしいか説明しろ」

では、われわれ消費者が気をつけるべきことはないのでしょうか。「無条件返品」を謳いながら、実際のところはちっとも無条件ではない場合があるので要注意です。ひと昔前のパソコンメーカーでは「どこがおかしいか説明しろ」という無茶な条件があったりしたものです。

そのような条件が、ネット上ではものすごく小さな文字で表示され、気づかせないまま半ば強制的に「同意する」のボタンをクリックさせられるようなサイトもまだまだ多い。細かな契約の文章を読み込んでから「同意する」べきというのは、言うのは簡単ですが、実際にはなかなかできません。

大手メーカー・サイトなら安心できるかというと、最近では、どんな大手メーカーでも個人情報の漏洩、不正や不祥事も相次いでいます。むしろ、どんな企業も信用できないからこそ、大小かかわらず企業の信頼はフラットになったため、ネット通販への抵抗感を減らし、コストパフォーマンス重視の傾向が進んでいる面があるとも言えます。

そんななか、賢い消費者になることはとても難しい。しかし、利便性やコスパに目を眩ませられることなく、甘い話には「どこかに危険があるのでは」という自己防衛の意識を常に持っておくことは大切です。

友野典男
明治大学情報コミュニケーション学部教授
著書に『感情と勘定の経済学』『行動経済学 経済は「感情」で動いている』など。
(構成=伊藤達也 写真=iStock.com/Bet_Noire)
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