大人にとっても子どもにとっても、スマホは生活必需品になっている。東北大学加齢医学研究所教授の川島隆太さんは「テレビやゲーム、スマホは疲れに気づかないまま脳を酷使している状態になりやすい。特に使用時間が長いスマホには注意が必要だ」という――。

※本稿は、川島隆太『脳を休める!』(扶桑社新書)の一部を再編集したものです。

家で床に座ってスマートフォンを使う幼い子ども
写真=iStock.com/ZeynepKaya
※写真はイメージです

脳を疲れさせる「3大悪習慣」

では、現代人の脳を疲れに気付きにくい状態に陥らせる行為には、どのようなものがあるのでしょうか。

私たちの研究で、特に影響が大きいものとして浮かび上がってきたのが、テレビ・動画、ゲーム、スマホ・タブレットの3つでした。

1.長時間のテレビ視聴

テレビ視聴は前頭前野を不活性化させるため、「あまり長時間でなければ」脳を休める効果が期待できます。「長時間でなければ」、との注意書きをつけたのには理由があります。長時間テレビを視聴すると、子どもは注意能力や言語能力が低下し、高齢者はアルツハイマー病発症のリスクになることが科学的に証明されているからです。

「映像を見て勉強」の効果は微妙?

私たちの研究でも、テレビを長時間視聴する子どもたちは、大脳皮質だいのうひしつ(神経細胞層)の多くの領域で発達が遅れ、おそらくその結果として、すべての教科で学力が低くなることが明らかになりました。

では、どのくらいから悪影響が出始めるのでしょうか。子どもの学力のデータから推測すると、テレビ視聴は1日トータルで1時間以内であれば比較的安心だと考えられます。

ちなみに、テレビやビデオを使った映像授業でも前頭前野は不活性化してしまいます。これまでの脳科学・認知科学の研究成果から、学習効果を期待するには、学習中に前頭前野を活性化する必要があることが証明されているので、映像を見て勉強をするというのは、かなり難しいことだと考えています。