前頭前野を働かせるゲームが「脳トレ」
さらに私たちは、子どもたちがゲームを長時間行うと、大脳皮質の深部にある、大脳白質の発達が遅延することを証明しました。大脳白質とは、脳のさまざまな場所をつないで情報交換を行うネットワークの基盤となる、いわば脳をつなぐ電線です。
では、適切なゲームの使用時間はどれくらいか? というと、テレビ視聴と同じように子どもの学力のデータから推測すると、1日1時間以内であれば安心と考えられます。
ここで、いろいろな方面からブーイングが聞こえてきそうです。「お前さんが世に出した脳トレもゲームだろう。脳が不活性化するなら、脳を鍛えることなんてできないはずだ」と。
書籍や講演などで「弁明」は何度もしているので、そんな声に手短にお答えすると、私たちは前頭前野が活性化するゲームアプリをつくるために、脳活動計測実験にたくさんの費用と時間を費やしました。その血と涙の結晶が、世に出ている脳トレなのです。
「悪い脳の疲労」をもたらす真犯人
3.スマホ・タブレット
もう生活必需品となっているスマホやタブレット(ここからは代表してスマホとします)、これも強力に、コンテンツによらず前頭前野を不活性化します。
ビデオを見ていても、音楽を聴いていても、SNSに興じていても、前頭前野は不活性化します。スマホ操作中は、視覚領域、聴覚領域、運動領域を使いますが、前頭前野は不活性化しますので、脳を休ませることに使えそうに思えます。しかし、私はスマホを「悪い脳の疲労」をもたらす真犯人だと考えています。
スマホを操作しているときには往々にして、マルチタスクと呼ばれるように、さまざまなアプリを切り替えています。テレビやゲームと違い、まったく属性の異なる非常に多くの刺激が長時間にわたって流れ込み、脳は情報の処理を強いられます。そのため、情報の入り口である視覚や聴覚領域の脳はフル回転して働いています。
しかし、前頭前野は不活性化していますから、脳が疲れたというサインを知覚することは難しいのです。視覚や聴覚の情報を処理する脳はへとへとに疲れているはずなのに、そのサインがなかなか脳の持ち主に伝わってこない可能性が高いのです。


