1日1時間以上のスマホが与える悪影響

こうしたスマホの長時間使用がもたらす影響に関して、ようやくさまざまな研究成果が出始めています。幼児では、1日1時間以上の利用で、問題行動の増加、運動能力の低下、聞く力や語彙力が低下することがわかっています。児童や生徒では、長時間のスマホ使用によって、すべての教科で学力が極端に低下しています。

私たちは、毎日長時間のスマホ利用によって、大脳皮質の多くの領域や大脳白質のほとんどの領域での発達遅延があることを証明しました。おそらく、このように脳発達が遅延することが学力低下の原因です。

また、スマホの長時間の使用は睡眠の質を下げ、それが認知機能だけではなく、運動機能や健康にも悪影響を与えることがわかっています。大学生を詳しく調べると、スマホを長時間使用する学生は、大脳白質に老化のサインが出ており、自尊心が低く、不安・抑うつ傾向が強い、共感性や情動制御能力が低いといった症状も出ていました。

「安全圏内」の子どもは10%未満

いずれも毎日1時間未満の使用では、悪影響は認められていません。しかし、スマホの使用時間に関する内閣府の調査を見ると、乳幼児から小学校低学年で1日平均2時間、さらに成長に伴い使用時間平均は伸びていき、中学生で1日約3時間半、高校生以降は1日6時間以上も使っています。高校生以降の成人では、おそらく安全と考えられる1時間未満で利用をやめている割合は、10パーセント未満です。

多くの国民が、脳を休ませるのではなく、脳に深刻なダメージを受け続けているのが現実です。

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