NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」では、織田信長・信忠親子と秀吉・秀長の兄弟が対照的に描かれている。歴史評論家の香原斗志さんは「信長親子の残虐性を際立たせたいがために、羽柴兄弟がヒューマニストであるかのように描かれている。それには、強い違和感がある」という――。
「博多どんたく港まつり」に登場し、沿道に集まった人たちに手を振る俳優の仲野太賀さん=2026年5月3日午後、福岡市
写真提供=共同通信社
「博多どんたく港まつり」に登場し、沿道に集まった人たちに手を振る俳優の仲野太賀さん=2026年5月3日午後、福岡市

NHK大河で描かれた信長の残酷さ

織田信長が苛烈な君主で、かなり残酷な行いにも躊躇がなかったのはまちがいない。NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」でも、そう描かれている。

第25回「変事の予兆」(6月29日放送)では、信長(小栗旬)は3人の家臣を追放した。筆頭家老の佐久間信盛(菅原大吉)、宿老のひとり林秀貞(諏訪太朗)、斎藤家の家臣だったが織田家に寝返った安藤守就(田中哲司)。ドラマでは信長が彼らに相撲をとらせ、負けた途端に追放を命じる、という展開だった。相撲をからめたのはフィクションだが、天正8年(1580)8月、彼らが織田家を追放されたのは史実である。

第24回「軍師官兵衛!」(6月21日放送)では、信長に反旗をひるがえし、有岡城(兵庫県伊丹市)に籠城していた荒木村重(トータス松本)が逃走。信長は怒るとともに、有岡城に残っていた村重の妻子や家臣らを、見せしめとして皆殺しにさせた。ドラマでは、村重の妻のだし(山谷花純)が京都の六条河原で斬首されたが、『信長公記』などによれば、ほかにも六百数十人が皆殺しにされた。

さすがにドラマでは描写できないが、まず上級家臣の妻子たちは磔にして惨殺された。しかし、それはまだ処刑方法としてはマシなほうで、多くは小屋に閉じ込められ、周囲に藁を積んで火をつけ、焼き殺された。