世界シェア2位の何が危ないのか
米国政府の大号令の下、同盟各国は中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)の締め出しにかかっている。
日本政府は情報漏えいや機能停止の懸念がある情報通信機器を調達しないよう、重要インフラを担う民間企業・団体に要請。電力、金融、情報通信など14分野が対象で、一部報道では、政府はファーウェイとZTEの製品を事実上排除する方針だと報じている。
NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの大手キャリア3社も、次世代通信「5G」の基地局などに中国製品を使わない方向で調整しているという。オーストラリアやニュージーランドでも日本と同様の対応を取ることが発表されている。
特に、締め出しをくらっている会社の1つ、ファーウェイは、売上高925億ドル(約10兆4000億円)を誇る超巨大企業だ。同社が手掛けるスマホ端末は現在、世界シェアでは韓国のサムスンに次ぐ2位。日本でも2018年にシェアが2位になり、かなり消費者に浸透してきている。米・アップルのiPhoneなどに比べて低価格なスマホを販売しており「端末代を抑えたい」ユーザーから支持されてきた。
ファーウェイやZTEの通信機器はどう危ないのだろうか。両社の格安スマホ端末を持っていても問題はないのだろうか。航空自衛隊出身で、現在はサイバーディフェンス研究所(東京)で分析官を務めている遠藤淳人氏に詳しく話を聞いた。
グーグルも情報を集めている
まず、日本政府がファーウェイやZTEの製品を締め出しにかかっているという報道についてですが、これは同盟国である米国や、安保協力が進む英国、オーストラリアなどと足並みをそろえる必要があるため、このような行動を取っていると見られます。
米国では以前から、中国は米国の機密情報を入手している、と指摘していました。
たとえば18年6月、中国が米海軍の下請け業者から、新たな潜水艦発射型の対艦ミサイル開発の秘密計画を含む、大量の機密データを盗んだと米紙・ワシントンポストなどが報じました。これまで米国が“軍事技術を新たな用途に適応させる”としか発表せず、詳しい内容がわかっていなかった「シー・ドラゴン計画」に関連する情報も含まれていたといいます。
オーストラリアの末端の防衛産業でも、中国と見られる攻撃者によりシステムに侵入され、米国の最新戦闘機「F-35」の情報が盗まれたこともありました。同様の事例が多発しています。