2018年12月、全米最大の税制改革組織のトップ、グローバー・ノーキスト全米税制改革協議会議長が来日し、Japan-USイノベーションサミット「自由経済懇話会2018」に登壇した。ノーキスト議長は米中摩擦が起きるとの予測を17年中に出し、完璧に的中させた共和党保守派の重鎮だ。

同シンポジウムは三谷英弘衆議院議員(自由民主党外交部会副部会長)とのセッション形式で、本記事の構成者である渡瀬裕哉氏(事業創造大学院大学国際公共政策研究所上席研究員、米国政治専門家)がモデレーターを務めた。三谷氏からは中国などの国家資本主義に対抗する問題意識が語られるとともに、ノーキスト議長との積極的な議論が交わされた。

米中摩擦は今後、どう展開されるのか。トランプ大統領は次期大統領選挙予備選で勝つことができるのか。プレジデント誌はノーキスト議長にインタビューした。

自民党・三谷氏とセッションするノーキスト議長。

トランプが勝てた本当の理由は「減税」

トランプ大統領が行った政策の中で最も評価されるべき実績は減税政策であることは間違いない。実際、同政権が実施した法人税35%から21%までの引き下げは18年の米国経済に非常にポジティブな影響を与えており、米国の国際的競争力が向上した。トランプ政権下で経済成長率は年率3%の伸びを達成しており、直近6カ月では4%という数字を実現している。オバマ政権で政権末期にかけて徐々に経済成長が鈍化してきたことと対照的である。

トランプ政権が断行してきた法人税減税は米国企業の設備投資を促進するとともに労働者の雇用・所得を改善している。また、海外に留保された企業の利益に対する課税を引き下げたことで米国内に資金が還流してきている。

一連の減税政策の影響によって、米国企業では給与やボーナスの引き上げが行われている。それと同時に、株式や不動産などの資産価格も値上がりしてきている。19年以降も米国はさらに力強く成長していくことになるだろう。