中国政府は自由市場のルールを侵害している

中国政府が行っている知的財産の強制移転や知的財産の窃盗行為などは、自由市場のルールを侵害しており許されるべきではない。私はあまり好きではないが、大統領は関税を使って交渉の戦術にしている。中国は最終的には何らかの合意を行うことになり、トランプ大統領は早々に合意が得られた旨の宣言を行うことになるだろう。

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関税は米中の消費者が負担するものであり、米中双方が関税をかけあうことは世界経済への影響も大きい。現状においても合意が得られるか否かによって株価が敏感に反応しており、経済成長を継続していくためにも貿易戦争の収束は必要不可欠である。

今般の米中摩擦は19年後半以降なあなあに決着する。しかし、中国が世界経済の覇者にはなれないということを受け入れるまで、対立は続く。

共和党が保護主義になったとメディアが報じることもあるが、私たちは関税をなくすことに賛同している。たしかに、経済学者の中には自由貿易を否定する人がいるが、彼らは非常に視野狭窄な人々である。貿易だけを特別視することは間違っており、減税を行うことに賛同するなら自由貿易も重要である。

米国だけでなく中国がTPPに入る可能性もある

また、トランプ大統領は一見してTPP(環太平洋パートナーシップ協定)に厳しい主張を持っているように見えるが、TPPに将来的に復帰する可能性はあるだろう。TPPの基本理念はアジアの同盟国と連携して正しい方向に進むことを意図しており、われわれはできるだけ多くの国と自由貿易協定を結ぶことがいいことだと考えている。仮に中国がわれわれと同じ方向に進むというなら中国すらTPPに入る可能性があるかもしれない。

トランプ政権はNAFTA(北米自由貿易協定)についても批判してきたが、現在はUSMCA(新NAFTA)という別の名称で合意を得た。同協定の修正内容を見てもトランプ政権が自由貿易自体を必ずしも否定していないことがわかると思う。実際に、どこまで進むかは予断を許さないが、欧州との間でも関税ゼロ、非関税障壁撤廃、補助金の削減などで議論が進んでいる。