いまでも3割の新入社員は3年以内に辞めてしまう。なぜなのか。人事ジャーナリストの溝上憲文氏は「上司との関係の悪さが退職理由となるケースが多い。たとえばミスをして叱られると、『それは教わっていません。教えなかったあなたが悪い』と開き直る。上司はそうした態度にあきれて、指導を放りだしてしまう」という――。
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「職場の人間関係が悪い」から辞める若手社員

10月1日の内定式が終わり、就職が決まった学生は来年4月の入社まで半年と迫った。

しかし本当に入社してくれるのか予断を許さない。就活が終わっても「本当にこの会社でいいのか」と不安にさいなまれる「内定ブルー」に陥る学生も少なくない。

実際に入社直前に内定を辞退する学生もいる。企業はそれを防止するために入社までの間に「工場視察」や親睦会などを開催してつなぎとめるのに必死だ。無事に入社にこぎつけても、1年目に11.9%、2年目に10.4%、3年目に9.5%と毎年1割ずつ新人が辞めていく(大卒、厚生労働省調査)。

なぜすぐに辞めてしまうのか。

エン・ジャパンの『「退職のきっかけ」実態調査』(2019年9月26日)によると、20代で多かった上位5つは以下の通りだ。

「給与が低かった」(46%)
「やりがい・達成感を感じない」(43%)
「人間関係が悪かった」(34%)
「企業の将来性に疑問を感じた」(34%)
「残業・休日出勤など拘束時間が長かった」(33%)