私は投資家として、日本に損したくない気持ちが必要以上に蔓延しすぎていることに対して、少し残念な気持ちがあります。だから、この本を手にとったみなさんには、ぜひチャレンジする戦略を選択していってほしいのです。損するリスクを冷静に直視した上で、貯め込んだお金や、自由な自分の時間を、少しでも未来のために投じるのです。
これからの日本では、「希望を最大化する人たち」と「失望を最小化する人たち」、つまり「動く人」と「動かない人」の格差が、さらに広がっていきます。ところが、前者の考え方を持つ人たちに対して、「イタい人」だとか「意識高い系」と揶揄する人も多いのが今の日本です。
「失望を最小化する人たち」は、嫉妬の感情が大きいため、自分の水準まで他人を引きずり下ろそうとしてくるでしょう。嫉妬などの負のエネルギーは連鎖していくので、「チャレンジするのが怖い」「恥ずかしい」などと、社会全体の不活性化につながっていってしまうのです。
何もしないことのリスクも考えよう
「希望を最大化する人になりましょう」。そうはいっても、安易に起業や株式投資をすすめたいわけではありません。
「リスクをとる」ということは、目を閉じてやみくもに飛び込むことではありません。目を見開いて直視し、ちゃんと考えて決断をしてチャレンジすることです。
これからの時代、一生サラリーマンのままで過ごすこともハイリスクな決断です。近年、会社や事業の寿命は短くなっています。会社に運命を預けっぱなしにすると、会社が潰れた途端に人生が詰んでしまいます。なぜなら、同じ会社で働き続け、「その会社でしか通用しないスキル」しか身につけていないからです。そのスキルだけのままで年をとると、他の会社に再雇用される可能性は限りなく低くなります。再就職できたとしても、少なくとも前の会社と同じ給料は稼げないでしょう。