豊田章男社長がアメリカで話したこと
「町でいちばんの自動車屋を目指す」
トヨタ自動車(以下、トヨタ)の社長、豊田章男はアメリカでのインタビューでこんな話をした。
みなさん、どこで車を買いますか?
そうでしょう。町でいちばんの自動車屋で買うに決まってますよね。
トヨタは世界中に工場、事務所、販売店を持っている。そのすべてで地域社会の支持、評価を大切に考えているということだ。
一方で、この話のミソはトヨタ販売店がすべて「町でいちばん」になれば、結局、トヨタは世界でいちばん車を売ることができる。自動車会社の社長の言葉としては、表現が巧みであり、しぶといやつという感じがする。
さて、トヨタカローラ徳島(以下、カローラ徳島)は文字通り、地域でいちばんの自動車販売会社だ。徳島県内でもっとも新車、中古車を売っている販売会社が同社である。年間の売り上げは97億円、従業員は234名(2019年5月現在)。
トヨタ系列ではカローラ徳島よりも売り上げの大きなディーラーはあるが、そのなかで同社は地域に支持、評価されているディーラーだといえる。
販売現場で勤続34年、ナンバーワンの営業課長
同社の販売現場で34年間働き、ナンバーワンの成績を上げているのが阿南店の専任課長、多田茂だ。彼の言葉こそ現場の言葉であり、車を売るためのノウハウが詰まっている。
「1960年生まれです。大学を出て、アルバイトで在庫処分の衣料品販売を行った後、84年に知人の紹介で入社しました。その頃の営業現場は、飛び込み訪問がほとんどでしたわ。商店街を20軒回るとか。僕は市役所を攻めました。役所へ入っていって、机の上にチラシを置く。そして、チラシに関心を示した人にセールストークをする。昔は個人情報にうるさくなかったから、営業マンは事務所の中まで入っていけたんです。
名前を覚えてもらわんといけんからね、名刺に5円玉を貼り付けて、『ご縁がありますように』って、営業をしていました。店に来てもらうというより、外回りで車を売る時代だった」