東京五輪の準備、会場整備、運営を担う「組織委員会」。2014年時点の職員数は60人程度だったが、開幕する頃には8000人程度にまで増えるという。組織委の小林住彦氏は「無事に終わるのは当たり前。その後の日本社会に何を残せるかが重要なテーマ」という。ノンフィクションライターの野地秩嘉氏が聞いた――。
小林住彦氏
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会広報局 企画制作部長の小林住彦氏

終わったら解散するのが「組織委員会」

東京2020オリンピック・パラリンピック(以下、東京大会)まで1年。オリンピックスタジアムをはじめとする会場の整備も進んでいる。

東京大会の準備、会場整備、そして運営を担う組織が、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(以下、組織委員会)だ。英文の名称はThe Tokyo Organising Committee of the Olympic and Paralympic Games。

わたしたちからすると、組織委員会、IOC(国際オリンピック委員会)、JOC(日本オリンピック委員会)という3つの組織の違いはよくわからない。ましてや、IPC(国際パラリンピック委員会)、JPC(日本パラリンピック委員会)のことは知らない人も多い。しかし、それぞれ違う役割の組織だ。

IOC、IPCはオリンピック、パラリンピックという大会を主催する。そして、大会に参加する選手団は、各国のオリンピック委員会、パラリンピック委員会が組織する。日本のオリンピック委員会がJOC、パラリンピック委員会がJPCである。

IOC、JOCおよびIPC、JPCが恒久的な団体であるのに対して、組織委員会は時限的な団体である点がもっとも大きな違いである。加えて、組織委員会はオリンピックを開催する都市にしか存在しない。つまり、オリンピックの開催が決まってから発足し、終わったら解散してしまうのが組織委員会だ。

60人規模の組織が開幕時には8000人になる

では、組織委員会は現在、どれくらいの規模なのか。そして、働いている人はどういった人たちなのか。最後に、具体的には何をやっているのか。

すべてに答えてくれたのは組織委員会広報局の企画制作部長の小林住彦である。マーケティングの専任代理店、電通から出向している。

「2014年1月24日に組織委員会ができ、私が来たのが6月。そのときは60人くらいの組織でした。それが2019年4月1日時点で2764人。開幕する頃にはさらに増えて8000人態勢になる予定です。

働いている人は東京都、国、地方自治体、スポンサーなどの民間企業・スポーツ団体からの出向者が大半。でも、今でも職員の募集はしていますよ。サイトを見ていただければわかります。

えっ? チケットが欲しいから職員になりたい? ダメですね、野地さん、組織委員会の職員になったからといってチケットは手に入りませんし、そもそも職員は、大会期間中にゆっくり観戦している時間はありませんから。

話は戻りますが、組織委員会の仕事内容はほんとに多種多様です」(小林)