何ともバカバカしい「ふるさと納税」新制度
豪華な返礼品が問題視されていた「ふるさと納税」の新制度が2019年6月からスタートした。新制度では返礼品を「寄付額の3割以下の地場産品」に限定する規制を導入。また、これまでの自由競争を改めて、総務大臣が基準に合致した自治体を指定することになった。つまり、事実上の許認可制度にしたわけだ。
総務省の自粛要請を無視して、派手な宣伝と豪華な返礼品で多額の寄付を集めてきた大阪府泉佐野市、静岡県小山町、和歌山県高野町、佐賀県みやき町の4市町は新制度の指定対象から外された。6月以降、この4市町に寄付しても税制優遇は受けられない(少なくとも2020年9月末までは対象外)。4市町と制度利用を希望しなかった東京都を除くすべての自治体、46道府県と1737市区町村は指定された。
結局、行きすぎた返礼品競争に歯止めを掛けて、自治体間の健全な競争を促すことを目的とした制度改正らしいが、何ともバカバカしい話である。
「景品欲しさ」に寄付する卑しい感覚
そもそもふるさと納税は「地方創生」を応援するための税制であり、都市生活者が自分を育んでくれた故郷や応援したい地域に納税できる仕組みとしてスタートした。地方と都市部の税収格差を是正し、国民の納税意識を高め、地域の特性や特産品をアピールする機会にもなる、と総務省は制度導入の意義を説明していた。
しかし、結果、「寄付欲しさ」の返礼品競争がエスカレートして、特産でも何でもないアマゾンギフト券を返礼する自治体まで現れた。一方で納税意識の高まりなどはほど遠い話で、縁もゆかりもない自治体に「景品欲しさ」に寄付するという卑しい節税感覚を助長したにすぎない。
自分を育んでくれた故郷や甚大な災害を受けた地域を本当に応援したい、本気で寄付したいという気持ちがあるなら、返礼品など必要ない。控除だけで十分だろう。それ以上のことをやっている国をほかに見たことがない。