景気には拡大期があれば、後退期もある。経営コンサルタントの小宮一慶氏は「最近、経営者に『景気後退の衝撃に備えよ』と話す機会が増えた」という。経済指標、消費税増税、トランプ大統領の対中国強硬姿勢といったニュースから読み解く「景気後退」の真実味とは――。
なぜ経営者に「景気後退の衝撃に備えよ」と話すのか
最近、私は経営者向けの講演などで、「景気後退の衝撃に備えよ」というお話をします。今の時期、次年度の経営計画を策定する企業も多いですが、これまでと同じ前提で経営計画を立てないほうがいい、とニュアンスを込めてお話ししています。
現状の日本経済は、成長率がそれほど高くないので実感はともなわないかもしれませんが、戦後2番目の長さの景気拡大期にあります。12年12月以降、「そこそこ良い」状態が続いているのです。19年1月まで続けば6年2カ月となり、戦後最長記録を更新します。
しかし、景気指標を見る限りは、そろそろ景気拡大期も終わりで、景気後退がやってくると考えられます。ちなみに、戦後最長の景気拡大は2002年から2008年にかけての6年1カ月で、その後「リーマンショック」がやってきました。
「キャッシュ(現預金)残高を普段より多めに積んだほうがいい」
私は経営コンサルタントですから、経営者の皆さんに経済環境の変化に備えてもらうことも、大切な仕事です。10年前のリーマンショック時ほどの落ち込みはないと思いますが、これまでの好景気を前提とした設備投資計画や人員計画を立てないこととともに、資金ポジションがそれほど良くない企業は、キャッシュ(現預金)残高を普段より多めに積んだほうがいいと考えています。
私が、そろそろ衝撃に備えたほうがいいという理由は大きく分けて2つあります。
ひとつは、現状の日本の景気指標から判断するに「国内景気は決して強くない」こと。もうひとつは、アメリカの中間選挙の結果により、「トランプ大統領の対中国姿勢はさらに強化され、それが日本経済にも悪影響を及ぼす」ということです。