仕事で自分を高めるにはどうしたらいいのか。経営コンサルタントの小宮一慶氏は「漠然と働いていてはいけません。例えば、メダル獲得どころか予選落ちをしたとしても晴れ晴れとした表情のスポーツ選手のように『なれる最高の自分』を目指す意識が重要です」という。自分のベストを出し続けるためのコツとは――。

簡単そうで難しい「なれる最高の自分」になること

「小宮さん、なれる最高の自分になるにはどのようにしたらいいのですか?」

ある日、部下からこんな質問をされました。私は口癖のように「なれる最高の自分」ということを話しますが、具体的にどうすれば「なれる最高の自分」になれるかをその部下はわからなかったのです。もっともなことかもしれません。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/PeskyMonkey)

そのことと関連して、当社(小宮コンサルタンツ)では経営方針発表会を毎年やっています。社員全員で13人の小さな会社なので、ひとり5分間ほど自分の今期の目標などを話してもらいます。その際には、「なれる最高の自分」を目指すと発言する部下も少なくありません。

最初は、私もそれで満足していたのですが、ただ単に「なれる最高の自分になる」と言っているだけでは、「がんばっている」と言うのと同じだということに気づきました。「なれる最高の自分」と言うだけで、思考停止状態になってしまう危険性があったのです。

そこで、これらのことをきっかけに私は、最近「なれる最高の自分」ということをテーマにした本を書きました。本稿はそのエッセンスです。

予選落ちしたり入賞を逃したりしても晴れ晴れしい顔の人

私は「なれる最高の自分」を目指すことが自己実現、ひいては人生を充実させるためにとても大切なことだと思っています。大げさな話ではなく、誰でも「なれる最高の自分」にはなることができると私は信じています。

例えば、オリンピックで金メダルを取った選手は誰もが喜んでいますが、銀メダルの人は喜んでいる人もいる一方、とても悔しがっている人もいます。そんな中、予選落ちしたり入賞を逃したりしても晴れ晴れしい顔をしている人もいます。それはきっと自分のベストを出すことができた人たちなのでしょう。

自己更新をしていくことの意義はスポーツだけではありません。ビジネスパーソンも同じです。人生のひとこまひとこま、また人生全体を通じても、自分の実力を高めながら「なれる最高の自分」を目指すこと。それが大切ではないでしょうか。