「言ったことをやる」だけでなく「思ったことはやる」

そして、「なれる最高の自分」になるための、最後の第3のステップは「いまの自分の殻を破ること」です。

とにかくやってみる。じっと考えているだけではダメです。ビジネスパーソンに必要な基礎力は、私は「思考力」と「実行力」だと考えています。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/kieferpix)

世の中は複雑系ですから、ビジネスの世界で成功しようと思えば、その複雑な世界を複雑なままに理解し、それを経営や現場に活かす思考力が必要です。それとともに、それを実際にやり遂げる実行力も必要なことは言うまでもありません。

「なれる最高の自分」になろうと思ったら、今までの自分の殻を破り、一歩踏み込んでやってみようとすることです。頭でっかちで考えているだけでは何も変わりません。

「信」という字は「人の言葉」と書きますが、実行力をつける第一歩は「言ったことは守る」ということです。同僚や部下、友人や子供とかわした小さな約束も守るということです。ですから、小さな約束をした場合でも、それを忘れないために手帳などにメモするということも必要です。

また、「言ったことをやる」ということとともに、「思ったことはやる」ということも大切です。「言ったことはやる」というと、何も言わなくなる人もいるからです。「○○へ行きたい」とか、「△△の勉強をしよう」など、思ったことはやるのです。もちろん、お金や時間的な制約もありますが、やらない理由を考えるのではなく、やる理由や方法を考えるのです。そうすれば実行力がつきます。そうやって、「なれる最高の自分」に近づいていくのです。

「なれる最高の自分」と宇宙の原理

私が愛読する『道をひらく』の著者である松下電器(現パナソニック)創業者・松下幸之助さんは、戦後すぐに、「物心両面の繁栄により、平和と幸福を実現していく」との願いのもと、PHP研究所をつくりました。その研究所での活動で発見したのは、「生成発展」という生き方・考え方でした。

生成発展とは「日に新たに」という意味です。古いものが滅び、新しいものが生まれるというのが自然の理法であって、生あるものが死にいたるのも、生成発展の姿。これは万物流転の原則であり、進化の道程である。よって、人はお互いに「日に新た」でなければなりません。創意と工夫とによって生成発展しようとするとき、そこに限りない繁栄、平和、幸福が生まれる――。そんな松下さんの考えが込められた言葉です。

これは東洋哲学の大家、安岡正篤先生の語る「生成化育」や、ヘーゲルの「弁証法的発展」にも通じるものがあると私は思っています。つまり、もし世の中の生成発展に貢献したいなら、自分自身も生成発展しないといけない。つまり、「なれる最高の自分」を目指していかなければならないということです。

まず、「なれる最高の自分」とは何かを考え、それを常に意識することから始めてみてください。最高の自分を目指して行動することで自分の殻を破ることができるのです。詳しくは『なれる最高の自分になる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)をお読みください。

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