中道を壊滅的敗北に追い込み、戦後最多の衆議院議席316を獲得した高市自民。これが「国民の声」ということだが、今後、人々の生活はよくなるのか。経営コンサルタントの小宮一慶さんは「国民の大部分の生活は豊かになるどころか、厳しさを増し、貧富の差がますます開くこととなる」という――。
当確者の名前にバラを付ける自民党総裁の高市早苗首相(左から4人目)ら=2026年2月8日、東京・永田町の党本部
写真=共同通信社
当確者の名前にバラを付ける自民党総裁の高市早苗首相(左から4人目)ら=2026年2月8日、東京・永田町の党本部

貧富の差がますます開く

高市早苗政権が総選挙で歴史的な圧勝をしました。しかし、これにより、国民の大部分の生活は豊かになるどころか、厳しさを増し、貧富の差がますます開くこととなります。

総選挙での自民党圧勝により、自民党単独でも衆院の3分の2以上を占めるようになり、維新を加えると圧倒的多数の与党が作られました。これにより予算案や法案の国会での議決がとても楽になります。

予算審議が遅れることが選挙前にはとても心配されましたが、年度内に成立するかは今のところ不明であるものの、約122兆5000億円の一般会計予算は、比較的すんなりと国会を通過することが考えられます。「高市独裁政権」などと揶揄する向きもありますが、中身はともかく予算審議がスムーズに進みやすいことはいずれにしてもよいことです。

さらには、高市首相の主張する「責任ある積極財政」ですが、「責任ある」の部分がさらになおざりになり、「積極財政」が展開されることとなります。これも、短期的には経済を刺激しますから、株高の要因です。

しかし、もちろんよいことばかりではありません。

消費税減税は本当にできるのか

首相が悲願とまで言った食料品についての2年間の消費税非課税の公約ですが、夏場以降に国民会議で議論することとなります。大方の野党も国民会議への参加の意向ですが、チームみらいを除く野党も消費税減税を声高に叫んだ以上、最低でも自民党案の2年間の食料品に対する消費税非課税は行われる可能性が高いと考えられます。

しかし、後で述べる財源の問題、そして減税の範囲と期間についてはもめることが必至で、そうスムーズには進まないことも予想できます。

給付付き税額控除という、減税効果がない低所得層に対しては給付金を渡し、他には税額控除をするという、本来行われるべき政策が行われるまでということのようですが、いずれにしても、消費税減税は時間がかかるものの行われると考えられます。

時間がかかれば、消費税減税の恩恵も効果が薄らぎます。とくにコメが高止まりしている中で低所得層はその実行を強く望んでいるはずです。

そして、減税を行う際に注意しなければならないこと。それは消費税は社会保障のための原資であり、その代替の財源の問題が十分に議論されていないことです。食料品だけを消費税の対象としないとする与党案でも5兆円程度の税収が落ちると試算されています。