なぜ国は依然として続く物価高を放置しているのか。経営コンサルタントの小宮一慶さんは「GDPで日本の2倍も豊かなアメリカは景気を下支えするため、来週利下げをする可能性がある。一方、実質賃金がマイナスの日本は一刻も早く利上げすべきだが、後手に回っている」という――。
一人当たりGDP:米国は約1200万円、日本は500万円程度
米国の一人当たりGDPは8万ドル(約1200万円)を超えています。一方、日本は500万円程度です。GDPは給与の原泉で経済的豊かさの源ですから、その差は倍以上。
実際に所得で見ると、日本では年収1000万円を超える世帯をパワーカップルと呼んでおり、全世帯の12.3%ありますが、そのうち夫婦ともに1000万円を超えているのは11万世帯で全世帯数の1%未満です。一方の米国では、働く人一人当たりの平均収入でも1000万円を超えています。この格差は歴然としています。
そうした中、トランプ氏が大統領となってから他国のことなど一切気にせずアメリカファーストをなりふり構わず実行しています。それに対して日本は、このところ円建てでの名目GDPは600兆円を超える水準まで伸びているものの、ドル建てで考えれば、コロナ前の約5兆ドルから、4兆3000億ドル程度まで落ちており、1990年代とそれほど変わらない状況です。
先に説明したように、経済的豊かさの源泉でもある一人当たりのGDPでも、給与でも倍以上の開きが出ています。
そうした中、米国では金利の引き下げが迫っており景気を下支えすると考えられる一方、日本では政局が大きく動き、力強さに欠く経済も少なからず停滞を余儀なくされそうですが、こういう状況でも金利を上げる必要に迫られています。

