銀行は大儲け

一方、政策金利に連動する短期金利も上昇する可能性が高いでしょう。2025年12月に日銀は政策金利(コール翌日物:1日だけ銀行間で貸し借りする金利)をそれまでの0.5%から0.75%に上昇させました。これにより、企業の短期借入れや変動物の住宅ローン金利で借りている人たちの金利が上がりました。

現状のインフレ率(12月で2.4%)などを考えれば、さらに上昇することが予想されます。2月2日から普通預金金利はそれまでの0.2%から0.3%に0.1%上昇しましたが、貸出金利は、最低でも政策金利上昇分の0.25%は上昇します。私の顧客の中には、それ以上の上昇を言い渡されたところもあります。つまり銀行は、金利上昇により、預金と貸出しの金利差が広がり、これまで以上に儲かるのです。

さらには、短期金利だけでなく長期金利の上昇に関しても、同様の利ザヤの広がりがあり、金融機関のもうけが拡大します。事実、総選挙の結果が出た翌日の東京株式市場では、日経平均株価が2000円以上上昇しましたが、その中で銀行やリース会社などの金融株が、軒並み上昇しました。市場は金利上昇を見越しているのです。

日本の都市銀行の看板
写真=iStock.com/t_kimura
※写真はイメージです

実質賃金は上がるのか

この連載ではこれまでも何度か実質賃金(インフレ調整後の賃金)のマイナスが続いていることに触れてきましたが、実質賃金が上がるかどうかも注目点です。

2025年には現金給与総額(給与、残業代、賞与の合計)は実額を表す名目で2.3%増の月平均で35万5919円でしたが、物価上昇のせいで実質賃金はマイナス1.3%となりました。24年のマイナス0.3%よりもマイナス幅が拡大しました。名目賃金は5年連続で増加ですが、実質賃金は4年連続マイナスが続いており、国民生活は苦しくなるばかりです。春闘で物価上昇を上回る賃金の上昇が行われるかが焦点です。

この点においては、株価は総じて好調ですが、企業業績はまだら模様で、業績が良好な企業ではある程度の賃金上昇は見込めるものの、そうでないところはなかなか難しいのも現状です。また、働く人の7割を雇用する中小企業では、大企業より難しいのは明らかです。

さらに、高市内閣開始以降円安が続いており、輸入物価上昇の懸念もあります。「積極財政」は物価上昇を生みやすいことも明らかです。

こうしたことを考えると、インフレは長引き、実質賃金のマイナスもさらに続く可能性は高いでしょう。

前回にも触れたように、純金融資産が1億円以上の富裕層は全世帯の3%で、彼らは金利上昇や配当の増加で潤いますが、大方の人には厳しい状況が続きます。短期的には消費税減税、あるいは給付付き税額控除で家計は少し潤いますが、インフレ対策ではなくしょせん結果的にはインフレ政策です。インフレは容赦ありません。

いずれにしても、絶対多数を確保した高市政権の消費税減税の動きや経済、金融政策からは目が離せません。「働いて、働いて……」実績を出してほしいものです。

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