令和元年、会社経営もビジネスマンの働き方も「基本に戻れ」
令和の新しい時代を迎え、気分一新という方も多いと思います。私は、新しい時代を迎えた今だからこそ、基本に立ち返るべきだと考えています。
前回のこの連載で指摘したように、平成時代の経済は、昭和時代の高度経済成長や平成最初のバブルの余韻もあり、繁栄を辛うじて維持できましたが、「成長」にはほど遠い状況でした。
令和時代の経済情勢は、高齢化の進展や財政赤字の拡大、加えて予定されている消費増税などで、これまで以上に厳しくなることが予想されます。だからこそ余計に「基本」に戻ることが大切なのです。
今回は、経営コンサルタントである私が、日頃、経営者の皆さんにお話ししている経営の基本についてご説明しましょう。これは、経営者だけでなく、ビジネスパーソンの日頃の心がけにも十分に通じる内容です。いわば、人生と経営を逆走・暴走させない乗り切り方です。ぜひご参考になさってください。
【経営とは「方向づけ、資源の最適配分、人を動かす」】
経営する上で重要なのは、「(1)方向づけ、(2)資源の最適配分、(3)人を動かす」の3つです。
(1)の「方向づけ」とは、企業として「何をやるか、やめるか」を決めることです。これが企業の命運の8割を決めると言っても過言ではありません。
(2)の「資源の最適配分」は、企業が活用するヒト・モノ・カネという資源を最適に配分することです。そして、(3)「人を動かす」ことによって組織のパフォーマンスを高めるとともに働く人を活かすのです。それぞれを、もう少し細かく説明しましょう。
(1)の「方向づけ」が企業の命運の8割を決めると述べましたが、その柱となるべきは、なんといっても「顧客第一」です。顧客の視点に立つ。それも、できれば「一番厳しい顧客の目」になって考えることです。顧客や世の中の動きを見極めることにより、商品や会社を変えていければ生き残ることができるでしょう。
ピーター・ドラッカーも「マーケティングとイノベーション」の重要性を説いています。これは、顧客の視点に立って顧客が欲しいものを見つけ出し、それを提供することと、その商品そのものやその製造プロセス、さらには組織などを革新することこそ企業が常に追求すべきことだということです。