景気は表面上の数字では「良い」ことになっているが
4~6月のGDPが発表され、インフレを調整した後の実質値で年率1.8%の成長となりました。1~3月も2.2%の成長でしたから、表面的には景気は拡大していると言えます。それほど多くの方には実感はないかもしれませんが、戦後最長の景気拡大だと考えられています。
しかし、私の会社が経営コンサルティングをしている顧客の企業には、「いざというときのために、お金を少し多めに借りておいたほうがいい」とアドバイスしています。景気の足腰はそれほど強くなく、今後の落ち込みが懸念されるからです。
もう少し詳しく経済の数字を見てみると、その足腰はかなり弱いことがわかります。
景気を現場で敏感にとらえている人の景況感を表すのが、内閣府の「景気ウォッチャー調査」です。別名「街角景気」とも呼ばれています。小売店の店頭で販売をしている人、ホテルのフロントマン、タクシードライバー、中小企業の経営者たちなどを対象に、毎月、各地域で調査を行っているものです。
この指標は「50」が良いか悪いかの境目ですが、昨年初あたりから「50」をずっと切っており、最近は特にその落ち込みが大きくなっています。
5%→8%の消費税増税では、家計消費が大きく落ち込んだ
前回2014年、5%から8%へ消費税を増税した時にはその影響で人々はぱたりとモノを消費しなくなりました。GDPの半分強を支えるのが、「家計の支出」。これがガクンと大きく落ち込んだのです。それも4年連続です。
表は、その家計の支出を端的に表す「消費支出2人以上世帯」の前年比の数字ですが、消費税を3%増税した2014年度が、-5.1%(実質値)、その後の3年間もマイナスが続いているのがわかります。
この事態を見て、政府は8%から10%へ増税するのをこれまでに2度も延期せざるを得なくなり、最終的に、今年の10月1日に実行すると腹を決めたわけです。
政府は、前回の増税時の大きな落ち込みなどを踏まえ、キャッシュレス決済による「ポイント還元」や「プレミアム付き商品券」といった施策で消費を喚起しようとしていますが、その効果は未知数です。