企業の財務諸表や決算短信には、経営状態だけでなく、その企業の「志」もあらわれる。経営コンサルタントの小宮一慶氏は「JR東海とJR九州は、どちらも業績好調だが、財務諸表を比較すると、『儲けの質』がまったく違うことがわかる。JR九州は実質的には運輸事業者というより不動産事業者となっており、今後に課題が残る」という——。
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業績好調なJR東海とJR九州の「志」はこんなに違う

東海旅客鉄道(以下、JR東海)と九州旅客鉄道(以下、JR九州)は同じ地域鉄道会社で、どちらも業績好調です。しかし財務諸表を比較すると、両社の戦略や思惑、そして「志」には大きな違いがあることがわかります。財務諸表を読み解くおもしろさをお伝えするいい事例なので、今回はその読み解きを解説したいと思います。

まず、JR東海ですが、財務内容は抜群です。通期の業績を表す2019年3月期の損益計算書を見ると、前期比3.1%の増加の1兆8781億円の売上高があります。驚くべきは営業利益で、前期比7.2%アップの7098億円ですが、売上高営業利益率は37.8%と驚異的です。