高齢化に伴う「大盤振る舞い予算」が当たり前に

2019年度に当初予算で初めて100兆円の大台に乗せた日本の歳出だが、今後も増大を続けそうだ。

8月末に厚生労働省がまとめた2020年度予算の概算要求額は、32兆6234億円と、今年度当初予算に比べて2.1%、6593億円増え、要求段階で過去最大となった。政府は「高齢化」に伴う社会保障費の自然増を5300億円と見込んでおり、これを上回る「大盤振る舞い予算」が続くことになりそうだ。

写真=時事通信フォト
国会議事堂=2019年5月24日、東京・永田町

厚生労働省の予算は一般会計の3分の1近くを占め、日本の国家予算の中で最大の割合を占める。要求額のうち30兆5269億円が社会保障費で、年金が12.1兆円と1.2%増、公的医療保険への国費投入が1.6%増の12兆円、介護関連が4.7%増の3.3兆円などとなっている。医療費は健康保険の掛け金で賄われているが、高齢者医療費の負担増などによって、赤字の健康保険組合が増えるなど財政難が続いており、国費を投入する金額が増えている。国民医療費の伸びを抑えることが喫緊の課題になっているが、効果を上げていない。

そうした社会保障費の増加に加えて、厚生労働省は新しい事業のための予算も要求している。政府が打ち出している就職氷河期世代の就職支援や助成金に653億円、最低賃金の引き上げに伴って中小企業が生産性向上に取り組む際の助成や、「同一労働同一賃金」の推進に1449億円といった具合だ。